U20アイルランド代表 17-19 U20ウェールズ代表 (5-8位決定1回戦/2009年6月17日(水) at福岡・レベルファイブスタジアム)
今大会、いよいよ福岡会場に「世界」がやってきた6月17日の夕刻。各プール2位の強豪チームが集う福岡会場は、深緑の自然に包まれたレベルファイブスタジアム。まだ日差しを強く感じる博多の夕刻、自国のプライドをかけた「緑」と「赤」が芝生に映える。
開始直後から互いにキックで戦況をうかがう展開、慎重にかつ丁寧に無人のエリアに蹴りあう両者。そしてキッキングゲームをやぶり、最初にインゴールに侵入したのはアイルランド。
たびたび思い切りの良いランニングでゲインしていたアイルランドBK陣が、今度は準備されていたであろうなめらかなオープン攻撃で赤い壁をこじ開ける。
>>>前半7分 アイルランド
敵陣右ゴール前スクラムから左BKへ展開、最後は#11キーティングが左隅へ飛び込みトライ。#10マッキンリー コンバージョン失敗 (アイルランド5-0ウェールズ)
しかし直後、ウェールズも手堅く確実にPGにて追撃。
>>>前半11分 ウェールズ
敵陣左中間10mライン付近から、#10ジャーヴィス PG成功 (アイルランド5-3ウェールズ)
お互いになかなかゲインできない激しい攻防、闘志むきだしの両者、そして前半16分、ウェールズ#14ロックストンが痛恨のシン・ビン。早い時間帯で14人となってしまったウェールズ、アイルランドはもちろんそこを突いてくる。局地で強みをみせるウェールズのFW周辺を避けて、なるべく外へ運ぶアイルランドBK陣は、幾度も1人少ない赤い壁を破っていく・・・・が、鬼気迫るバックアップで厚みをみせる赤い壁は遜色ない。その好ディフェンスが「1人少ない」はずのウェールズを盛りたてる。そして、逆にスコアし返したのは圧巻のウェールズFW陣。
>>>前半21分 ウェールズ
敵陣左中間ゴール前ラックから近場を連続クラッシュ、最後は#6ティプリックが突破しトライ。#10ジャーヴィス コンバージョン成功 (アイルランド5-10ウェールズ)
逆境から逆転に転じたウェールズは、その後も手堅くPGにて加点。離されまいと、アイルランドもPGにて追撃。しかし驚くべきは、両者のその射程距離。ショットを選択するたびに「うぉ〜っ!!」と沸くレベスタの観客席。
>>>前半25分 ウェールズ
敵陣左10mライン付近から、#10ジャーヴィス PG成功 (アイルランド5-13ウェールズ)
>>>前半31分 アイルランド
敵陣正面10mライン付近から、#10マッキンリー PG成功 (アイルランド8-13ウェールズ)
>>>前半32分 ウェールズ
敵陣左中間10mライン付近から、#10ジャーヴィス PG成功 (アイルランド8-16ウェールズ)
>>>前半36分 アイルランド
敵陣正面ハーフウェイライン付近から、#10マッキンリー PG成功 (アイルランド11-16ウェールズ)
前半終了。スコアは、(アイルランド11-16ウェールズ)。
気温も少し下がり、やや涼しくなってきた後半。最初から勢いがあったのはウェールズ。 有効なキックで敵陣に攻め入ると、序盤から優勢だったFW陣が局地戦でアイルランドの反則を誘うように圧力をかけ続ける。そして後半最初のスコアはウェールズ。
>>>後半4分 ウェールズ
敵陣左中間10mライン付近から、#10ジャーヴィス PG成功 (アイルランド11-19ウェールズ)
ここから約20分間、スコアが動かない迫力ある攻防、お互いの「ここは相手に負けない」という気迫がにじみ出ている様に、観客も息を呑み観守る。
ゲームも残り10分強、一番消耗している時間帯で、精力的に動いたのはアイルランド。力をふりしぼるFW/BKの連続攻撃から、ついに得た敵陣ゴール前でのスコアチャンス。のちに来る逆転シーンを信じ、まずはショット選択。
>>>後半28分 アイルランド
敵陣正面22mライン付近から、#10マッキンリー PG成功 (アイルランド14-19ウェールズ)
アイルランドの猛追に焦るのか、ウェールズの反則が少々目立ってきた。そこに付け入ろうとアイルランドはポゼッションに関係なくチャレンジしてくる。そして直後に再びペナルティーを得る。なんとハーフウェイライン付近で敵陣ゴールポストを指差す、アイルランドのキャプテン。 キッカーへの絶対の信頼をおく光景に観客も拍手喝采。
>>>後半33分 アイルランド
自陣正面ハーフウェイライン付近から、#10マッキンリー PG成功 (アイルランド17-19ウェールズ)
ついにきた「2点差」。
この好ゲームに魅了される観客と、自国サポーター同士の叫び声がこだまするレベルファイブスタジアムのボルテージは最高潮。
しかし、フィールドに布陣される緑と赤の30人、そして潔く裁くレフェリー陣は見事。冷静に淡々と残り時間をファイトする光景は、さすが「世界」のゲーム風景。そこにはさまざまなかけひきや苛立ちがあるだろう。スタジアム全体が一体となった時間帯。
そして残り時間1分、フィールド中盤で強固なモールを形成した赤い塊は、60秒間相手にボールを渡すことなく、無情の終了ホーンが鳴り響く。ノーサイド。
試合終了。最終スコアは、(アイルランド17-19ウェールズ)。
出し切ったお互いの選手たちへ送られる「なりやまぬ拍手」のなか、わたしもたまたま隣にすわっていた外国の女性と、自然に笑顔で握手をしていた。福岡での好ゲームを本当にありがとう。
U20アイルランド代表
アレン・クラーク監督
「惜敗して今は落ち込んでいるが、選手個々のプレイは悪くなかった。試合展開によってどう転ぶか解らなかったと思う。チャンスを物にできなかったのが残念である。自分たちの日頃のプレイができなかった、させてもらえなかった。
次の試合に向けて、心身両面のケアを充分に行い、集中して行きたい。我々のラグビーは間違ったラグビーではないはずだから」
トーマス・セクストン選手
「負けてがっかりしている。とにかくミスが多かった。ウェールズには6ネーションで勝ったが、ウェールズもそのリベンジに燃えて立て直して来たと思う。とにかく充電して、最後の試合に集中して臨みたい」
U20ウェールズ代表
フィル・デーヴィス監督
「選手全員のプレイに満足している。選手みんなが努力してプレイしてくれていたと思う。後半難しい局面もあったが、ディフェンス面での評価はできると思う。とにかく最終戦に向けて全力を尽くす」
スコット・アンドリューズ主将
「勝てて幸せだ。非常にタフなゲームであったが、力を出し切って勝てたと思う」
──6ネーションズの敗戦から三ヶ月、どう立て直したのか。
フィル・デーヴィス監督
「とにかく本大会の為に、一から出直した成果だと思う」
──フランスとサモア、どちらが戦い易いか
スコット・アンドリューズ主将
「特に希望はない(笑)。我々のラグビースタイルは、相手チームによって変わるものではないからだ」
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