U20ニュージーランド代表 44-28 U20イングランド代表
(決勝戦/2009年6月21日(日) at東京・秩父宮ラグビー場)
ニュージーランドが優勝、イングランドも善戦
東京秩父宮で優勝トロフィーを賭けた決勝戦は昨年と同カードのニュージーランドとイングランドの無敗同士の戦いとなった。この日は午前中、大雨の天候にも拘らず、ファン待望の北半球対南半球の注目のカード、観客数は11,000名を上回った。
試合開始前、両国歌斉唱後、ニュージーランドは戦い前のハカで更に気合を奮い立たせる。片やイングランドはチーム一列で肩を組みながら睨み受け、両チームとも気合十分。小雨の中、ニュージーランドのキックオフで最終戦の幕を開けた。
前半6分、イングランドはFBトーマス・ホーマーのPGで先制し3-0。
この後、イングランドのSHベンジャミン・ヤングズが一瞬の隙をつきゴール右隅に飛び込みトライと思われたがビデオ判定の結果、ニュージーランドFBロビー・ロビンソンにインゴール内で阻止されドロップアウトとなる。
12分、イングランドが更にPGにて6-0として、イングランドが勢いに乗りかかるが、14分ニュージーランドはゴール前右のスクラムから左に展開しCTBショーン・トゥリビーがタイミングをずらし、FBロビー・ロビンソンがこの試合初トライを上げ、6-5と追い上げる。
イングランドもこの後のキックオフからのボールを獲得し、左オープンへのロングパスでワイドに展開、HOジェイミー・ジョージが抜け出し、ゴール前ラックよりすかさずLOジェームズ・ギャスクルがゴールへ持ち込み17分トライ、11-5。
21分、今度はニュージーランドCTBショーン・トゥリービーがDFの裏にキックしたボールを、WTBザック・ギルフォードが快速で押えてトライ、11-10と追い上げる。
そして25分にPGにて11-13と逆転し、この後、27分、30分とスクラムを基点としたテンポの速い攻撃によりゲインラインを突破し、いずれも最後にフォローしたSOクルーデンがトライ、Gを重ね、11-25とリードする。
34分、イングランドも意地を見せPGを決めて25-14にて前半を終了。
後半3分、ニュージーランドは、22m自陣ラインアウトのファンブルによるイングランドのDFの隙をSOクルーデンがインサイドにリターンし、そのパスを受けたCTBショーン・トゥリービーがゴール中央に直進しトライ、Gも決めて32-14。
9分イングランドはニュージーランドゴール前に再三攻め込み、PKよりFWがモールで押し込みNo.8カール・ファーンズがトライ、GもFBトーマス・ホーマーが決めて32-21と追い上げる。
17分ニュージーランドは得点差を広げるためにSOクルーデンがDGを狙うが、失敗。
19分ニュージーランドはスクラムからのボールをSOクルーデンが左ブラインドサイドを攻め、WTBザック・ギルフォードがトライ、37-21。
31分ニュージーランドは右ゴール前でのイングランドのミス処理をCTB、LOと素早く繋ぎHOブライデン・ミッチェルがトライ、Gも成功し44-21と差を広げる。
しかし、イングランドも諦めることなく、37分ニュージーランド自陣ゴール前NZマイボールスクラムをイングランドFWが強力にプレッシャーを掛け、スクラムからこぼれたボールをすかさずイングランドSHデーヴィッド・ルーイスが押さえてトライ、Gも決めて44-28。この後もイングランドは果敢に攻め続けトライを取りにいくが、44-28でノーサイドとなり、ニュージーランドが2年連続で優勝を勝ち取った。
イングランドはSOローリー・グレッグ、FBトーマス・ホーマーのキックから高さとスピードのあるバックファイブを前に走らせチャンスに繋がる場面もあったが、前試合より負傷していたSHベンジャミン・ヤングズの前半中盤での退場により、イングランドフォワードの力をフルに発揮できなかったのが残念だが、最後まで諦めず、自慢の強力FWによるスクラムからのプレッシャーから最後のトライを奪い取ったのも見事。
ニュージーランドはSOクルーデンが司令塔で仕掛けるキレとスピードのある展開、FWと連携した速い集散が決勝戦での7トライ獲得とチームとしての総合力を見せ付けた。
「IRB AWARD ジュニアプレーヤー・オブ・ザ・イヤー」にNZの主将SOクルーデンが選ばれ、表彰式では準優勝イングランドチームメンバーに銀メダル、優勝ニュージーランドチームメンバーには森会長より金メダルを贈られ、JWC優勝トロフィーがIRBマイク・ミラーCEOから渡された。
終了後、ニュージーランドチームは勝利のハカを披露し、最後までファンを楽しませてくれた。(高野 敬一郎)
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U20イングランド代表のメープルトフト監督(左)、クラーク主将 |
U20イングランド代表
マーク・メープルトフト監督
「二年続けてニュージーランドとあたりましたが、負けてしまい残念な結果です。
選手はよく頑張りました。最終的には16点差になりましたが、最後まで意欲を失わずによく頑張りました。後半にやや落ちてしまったパフォーマンスが少し残念です。結果として合計7トライ取られてしまいました。このトーナメントでは敗れてしまいましたが、本代表レベルでもう一度カムバックしたいと思います」
キャラム・クラーク主将
「決勝戦のステージまで来られたことを誇りに思います。敗因はトライを簡単に与えてしまったことだと、残念に思っています。また、ひとつひとつのプレーが冷静にできておらず、正確さに欠けたことが非常に残念です」
──分析はできていたか? それ以上にNZが強かったということだろうか?
マーク・メープルトフト監督
「そうは思いません。分析は自分達もしてきましたが、NZも充分にしてきていたとおもいます。ただプレーは我々に比べて、NZの方がより落ち着いていたと思います。
11点差の時間帯が長く続き、その点差を詰められなかったのが残念でした。ドライビングプレーは非常によかったですし、選手達はよく頑張りました。決勝で7トライ獲るNZの高いパフォーマンスは実際素晴らしいと思います」
──スピードのNZ 対 パワーの英国という図式だったが?
キャラム・クラーク主将
「彼らはフィジカル面でも強かったです。チーム一体のプレーで臨みましたが、相手は我々より集散がよかったですし、プレーも非常にシャープでボールハンドリングも良かった。我々のディフェンスが前半あまり良くなくミスタックルが多かったです。後半は多少修正できましたが、彼らが勝利を得ることとなりました」
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U20ニュージーランド代表のレニー監督(左)、クルーデン主将 |
U20ニュージーランド代表
デーヴ・レニー監督
「試合を重ねるごとに良いプレーができた。休息もとりながら徐々に良くなった。7つのトライを取れるなど、良いパフォーマンスができたと思う」
アーロン・クルーデン主将
「チームを誇りに思います。ボールを上手く展開するゲームができました。非常にタフでフィジカルなゲームでしたので、この勝利は心より喜びたいです」
──司令塔としてチームは上手くコントロールしてたと思うが、自分自身の個人的プレーにはどれくらい満足?
「難しい質問ですね(笑)。FWが頑張ってくれましたので、自分自身は落ち着いてプレーできる結果になりました。BKとはコミュニケーションを良くとるように心掛けました。基本的には15人全員が良いプレーをできたと思います」
──前半最初はイングランドがリードする非常にタイトなゲームだったが?
「はい、最初は点数を取ったり取られたり、非常に厳しい闘いだったと思います。ですが、FBロビンソンがトライを防いだタックルがチームの気持ちを高め、我々の結束力を高めさせてくれました」
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